2015年5月18日に、株式会社リコーが発電性能をもつゴムを開発したと発表しました。
発電ゴムとは、一体どんなものなのでしょうか?
発電ゴムとは
今回リコーが開発した発電ゴムは、柔軟性のあるシート状で高い発電性能を持つ材料です。
この発電ゴムは、曲げる、押すなどの圧力をかけることによって発電します。
従来、圧力による発電材料は、セラミックスや高分子樹脂などが使用されています。
しかし、これらの材料にはそれぞれ利点と欠点があります。
まずセラミックスについてですが、従来の代表的な圧電材料であり、機械設備の圧力・振動センサーなどの電子部品に使用されています。
高出力の発電性能を持っているのですが、壊れやすい、重い、鉛を含むなどの欠点があります。
また、高分子樹脂は柔軟性を持っているのですが、発電できる電力はごく微量で用途が限られています。
そもそも、高分子樹脂自体が発電を目的とした素材ではなく、加工のしやすいフッ素系プラスチックとして使用されています。
これらの両方の利点を兼ね備えた素材が、この発電ゴムなのです。
セラミックスと同等の発電性能を持ち、高分子樹脂のような柔軟性とゴム特有の加工のしやすさも持っています。
また、耐久性も高く、数百万回の繰り返し負荷試験でも性能劣化がなかったそうです。
発電の原理
実は、まだ原理がよくわかっていません。
よくわかっていないというのも驚きですが、従来の発電材料とは異なった発電機構でまったく新しい素材になります。
現在は、東京理科大学の山本貴博准教授と共同研究をしており、最先端の技術を用いて発電機構の解析を進めているそうです。
解析が進むことで発電ゴムの用途が広がり、将来的には様々な分野へと応用が広がることでしょう。
発電ゴムの将来性
様々な用途へと活用できるので、まず考えられるのは自動車ではないでしょうか?
電気自動車に使うと超低燃費を実現することもできるかもしれません。
他にも、スマートフォン等の携帯端末にも応用できるのではないでしょうか?
今は予備のバッテリーとしてモバイルバッテリーがありますが、もっと効率のいいバッテリーもしくは携帯端末が登場するかもしれません。
押したり曲げたりするだけで発電でき発電量も多いとなると、電気を使うものになら何にでも活用できそうですね。
海外の発電ゴム
実は、発電ゴムというものは既に海外で開発されていました。
2010年に、アメリカのプリンストン大学で曲げ伸ばしで発電するシリコンゴムを開発しています。
しかし、この発電ゴムを使用した製品というものは見つけることができませんでした。
既に実用化されている可能性もありますが、表に出ていないということは実用化まで辿り着かなかったのかもしれません。
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