はちみつはとても体に良い!と有名ですよね。
しかし、甘くて美味しくて健康に良いはちみつにも落とし穴があります。
それは、赤ちゃんには絶対食べさせてはいけない食材の1つであるということです。
この知識を家庭科の授業や大学で専門的に学ばれた方、母子手帳やはちみつのパッケージなどから常識として認知されている方もおられますが、全体的に浸透していないことも事実です。
はちみつが原因でこれ以上尊い命を落とさないためにも、知識を身につけるだけでなく、周りへ広めていくことが大切です。
なぜ、赤ちゃんにはちみつを与えてはいけないのか詳しく学んでいきましょう。
はちみつの危険性
はちみつのパッケージに記載されているラベルにはこのような注意書きがされています。
*1歳未満の乳児には食べさせないでください。
これは、1987年に厚生労働省が1歳未満の乳児にはちみつを与えるべきではないと発表し、注意喚起を続けているためです。
はちみつのラベル以外にも、母子手帳の離乳食の項目などに記載されています。
なぜ、1歳未満の乳児がはちみつを食べることを禁止にされているのでしょうか。
実は、はちみつにはボツリヌス菌が含まれている可能性があります。
乳児が口にすると、乳児ボツリヌス症という病気に感染して最悪の場合、死に至る危険性もあるため、1歳未満の乳児ははちみつを食べることを禁止されているのです。
ボツリヌス菌とは
ボツリヌス菌は土壌や海、川など、土の中に広く存在する偏性嫌気性菌です。
非常に熱に強い芽胞(がほう)を形成しており、低酸素状態になるとボツリヌス毒素を産生し、発芽・増殖を行います。
ビン詰めや缶詰、容器包装詰め食品など、酸素が含まれないような食品が原因で食中毒を起こすことがあります。
食中毒を防ぐためには、ボツリヌス毒素自体は、100℃で1,2分の加熱により失活させることができますが、ボツリヌス菌の芽胞の場合、100℃で6時間の加熱が必要です。
ボツリヌス菌の混入経路
健康にも良いはちみつであるにも関わらず、どういった経緯・タイミングでボツリヌス菌が混入しているのでしょうか。
結論から申しますと、ミツバチがはちみつを作る際、花粉を経由してボツリヌス菌の芽胞が混入します。
ボツリヌス菌は土の中に広く存在しています。
そのため、土壌中から育つ植物にはボツリヌス菌の芽胞が付着している場合があります。
ミツバチがはちみつを作る際は、花の蜜だけではなく、花粉も運びます。
花の蜜には含まれていませんが、花粉にボツリヌス菌の芽胞が付着していることがあるため、ミツバチが花の蜜や花粉を運ぶときに、はちみつにボツリヌス菌の芽胞が混入することがあります。
乳児ボツリヌス症
乳児ボツリヌス症とは
1歳未満の乳児がボツリヌスの芽胞を摂取し、感染してしまう病気を乳児ボツリヌス症といいます。
はちみつに含まれるボツリヌスの芽胞は極微量であり、大人が口にしても発症はしません。
しかし、乳児の腸内環境はボツリヌスの芽胞が発芽し、ボツリヌス菌が増殖しやすい環境です。
1歳未満の乳児の場合、免疫力が弱く、消化器官が未熟であり、腸内細菌の活動が弱いためボツリヌス菌に負けてしまいます。
例えはちみつを加熱したとしても、100℃で6時間も加熱しなければならないので、家庭でボツリヌス菌の芽胞を加熱して殺菌するのは困難です。
しかし、1歳を過ぎれば腸内環境が整い、抵抗力が高まるのではちみつを食べても問題ありません。
症状
乳児ボツリヌス症に感染すると、
- 便秘
- 全身の筋力が低下
- 顔面麻痺
- 哺乳力の低下
- 呼吸困難
- 鳴き声が小さくなる
など、主に筋力の麻痺による症状がでます。
全てのはちみつにボツリヌス菌が含まれているわけではないので、はちみつを食べたからといって必ず乳児ボツリヌス症になるとは限りません。
しかし、はちみつを誤って口にした場合、乳児ボツリヌス症の疑いのある症状が見られれば、必ずお医者さんのところで診てもらいましょう。
対処法
乳児ボツリヌス症は、特に生後6ヶ月未満の乳児の発症率が高いといわれております。
また、体内に潜伏してから発症する期間は、3日から30日といわれています。
はちみつを口にしてしまった場合はまず、赤ちゃんの体についたはちみつを拭き取り、母乳や白湯を飲ませましょう。
そして、1ヶ月間の間に3日間続く便秘などの症状はないか様子を注意深く見て、異変があれば病院で診てもらいましょう。
母乳を通しての危険性
母親がはちみつを食べたことによって、母乳を通して赤ちゃんに感染することはないのかと心配される方もおられると思います。
また、授乳中だけではなく妊娠中にはちみつを食べても大丈夫なのでしょうか。
乳児ボツリヌス症は、赤ちゃん自身の体内にボツリヌス菌の芽胞を取り入れるとかかってしまう病気です。
そのため、母親がはちみつを食べても、ボツリヌス菌の芽胞は消化器官で処理され、血液中や母乳に混ざることもありません。
赤ちゃんに影響を与えることはないので、お母さん方も安心してはちみつをいただけます。
その他与えてはいけない食品
はちみつ以外にも赤ちゃんに与えてはいけない食品はあります。
黒砂糖やコーンシロップ、非加熱の野菜ジュースや自家製の野菜スープなどがはちみつと同じ理由で挙げられます。
しかし、野菜についてはしっかりと洗浄し、加熱をすればボツリヌス菌の混入をかなり防げるそうです。
その他には、半熟卵やゴマ、加熱をしていない牛乳、そばなどのアレルギーが起こりやすいものなどが挙げられます。
また、3歳になるまでは、生卵やお刺身、お肉などの生もの、ナッツ類、香辛料やカフェインの入ったものなども与えてはいけない食品として挙げられています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
赤ちゃんはボツリヌス菌の芽胞を退治することができないどころか、むしろ育ててしまうほど消化器官が整っていません。
一歳を迎えるまで赤ちゃんにははちみつなどを与えないように、大人がしっかりと管理をしてあげましょう。
はちみつ以外にも赤ちゃんに与えてはいけないものがいろいろありましたね。
大切な命を守るために、正しい知識を身につけて、身につけた方はしっかりと周りに伝えていきましょう。
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