フグといえば、旬である冬に食べられる高級料理です。
近年では養殖がさかんに行われており、どの季節でも食べることができるようになっています。
また、毒を持つ魚としても有名です。
フグの毒はテトロドトキシンという猛毒で、ごく微量で人を死に至らしめる危険性があります。
しかし、フグ自体は毒がないと解明されているのです。
フグに毒がない理由
天然のフグは毒を保有しています。
もちろん、種類によって毒のある部位が変わってきます。
全部の部位が毒であったり、全く毒を持たない個体もあります。
実は、どの種類でも養殖のフグには毒がありません。
つまり、生まれた時にはどのフグも毒を持っていないのです。
フグが毒を持つ過程
フグは主にテトロドトキシンという猛毒を保有しています。
しかし、この毒は自らが作り出したのではなく、食物連鎖によって体に蓄積されているのです。
もともと、有毒プランクトンやビブリオ菌などの真正細菌が毒を生成しており、それらを貝類やヒトデが食べます。
その貝類やヒトデをフグが食べることによって、体内に毒が蓄積されていくのだと考えられています。
フグが毒を持つ理由
どの生物でも同じことが言えますが、外敵から身を守るためという説が一番有力です。
フグによっては、毒を体外に放出することのできる個体がいます。
そうすると、外敵がテトロドトキシンなどの毒に敏感に反応し、結果的に襲われなくなるというものです。
また、雄を誘うためのフェロモンの役割であるという説もあります。
テトロドトキシンなどの毒を持つ卵巣は、雄のフグを惹きつけるというものです。
フグの毒の種類
フグの毒はテトロドトキシンだけではありません。サキシトキシンという毒や、パフトキシンという毒を保有している種類もあります。
テトロドトキシンは、青酸カリの1000倍以上の毒性を持ち、人間だとたった2mg程度の摂取で死んでしまうほど強烈です。
また、300℃以上の熱で加熱しても分解されることはないので注意が必要です。
サキシトキシンはテトロドトキシンと近い構造を持ち、麻痺作用が強いのが特徴です。
パフトキシンはハコフグ科の魚類の皮膚から分泌される神経毒で、水溶性という特徴を持っています。
これらの毒は全て死ぬ危険性が高い猛毒ですが、鎮痛剤などとして医療用に使用されることもあります。
フグ毒の食中毒になった場合の治療法
結論から言いますと、ありません。
フグ毒は未だに解毒剤や血清が開発されていません。
しかし、フグ毒は吸収されることなく尿として排出されます。
その特性を利用して利尿剤を投与し、呼吸困難の症状が収まるまで人工呼吸器を使用することが唯一の治療法です。
フグにフグ毒は効かないのか
フグは故意にテトロドトキシンを摂取し体に蓄積しているため、フグ毒に対して高い耐性を備えています。
しかし、耐性が高いだけであって、無理やり投与するなどして一定量を超えると中毒します。
よって、厳密にはフグはフグ毒によって死ぬことがあります。
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