みなさん、うなぎに毒があることは御存知でしたか?
うなぎといえば、高級食材で土用の丑の日に食べられる行事食でもありますが、うなぎのお刺身って見たことないですよね。
回転寿司やスーパーで見かけるうなぎも、既に調理・加工済みのものばかりです。
ということは、調理・加工前のうなぎには毒があって、そのままのうなぎは危険ということが考えられます。
食べるとスタミナがつくと言われ、夏バテ防止にも食べられるうなぎですが、どのような毒を持っているのでしょうか。
うなぎの毒による食中毒の症状
うなぎの血液中には、タンパク質の毒素が含まれています。
うなぎの毒自体に名前はついていませんが、その毒は、魚類血清毒という広範囲の毒を示す言葉で呼ばれます。
英語では、
- ichthyohemotoxinfish
- serum toxin
と呼ばれ、いずれも魚類血清毒という意味を持っています。
うなぎの生き血を大量に飲んだ場合、
- 下痢
- 嘔吐
- 呼吸困難
などの症状が出て、最悪の場合、死に至ることもあるそうです。
しかし、うなぎの毒はフグ毒のテトロドトキシンほど強い毒性は持っておりません。
大量の生き血といっても、体重60kgの人のうなぎの血液による致死量は、1000mlといわれています。
うなぎの生き血を大量に飲む機会はめったにないため、あまり神経質にならなくても大丈夫そうですね。
しかし、うなぎを調理する際は注意が必要で、うなぎの血が傷口に入った場合、
- 炎症
- 化膿
- 浮腫
などを引き起こしてしまいます。
目に飛び散って入ってしまった場合は、激しい痛みが伴って結膜炎を引き起こし、
最悪の場合、失明してしまう恐れがあります。
うなぎの毒は口に入れずとも、触れるだけでも危険な毒です。
この毒はうなぎ以外に、あなごにも含まれているといわれています。
うなぎのぬるぬるの正体は毒?ぬるぬるの役割とは
うなぎの血に毒が含まれていると先ほどお話しましたが、うなぎの体の表面のぬるぬるも十分怪しいですよね。
気になるうなぎのぬめりの成分は、「ムチン」と呼ばれるタンパク質です。
うなぎは、
- エラ呼吸
- 皮膚呼吸
のできる体のつくりになっています。
体の表面のぬるぬるとした粘液には、体の水分を保ち、酸素を取り入れて皮膚呼吸を助ける役割があります。
このぬるぬるのおかげで、うなぎは多少水がなくても、陸地を通って別の川に移り住むことが可能です。
また、うなぎは海と川を行き来する魚です。
このぬるぬるとした粘液は、体内と体外の浸透圧を調節する役割があります。
うなぎが海水と淡水という環境の違う場所で生活できるのは、このぬるぬるのおかげなのです。
さて、本題のぬるぬるとした粘液に毒はあるのか、ということですが、
マウスによる実験を行ったところ、有毒であることがわかったそうです。
しかし実際のところ、
うなぎの粘液による人体への影響は発表されておらず、うなぎの生態についてもまだまだ謎が多いそうです。
もし、体の表面が有毒であったとしても、血液の毒と同じで加熱に弱く、無毒化することができます。
念のため、うなぎのつかみ取りをした時は、しっかりと手を洗うようにしましょう。
うなぎの毒に対する予防や対策
うなぎの毒は、60℃で5分間加熱することで、完全になくすことができます。
うなぎによる食中毒の発生情報がめったに出ないのは、しっかりと加熱して毒素を失活させているからなんですね。
蒲焼きやうな重を食べる時は、食中毒を恐れなくても大丈夫そうです。
それよりも、うなぎを食べる人より調理をする方の方が気をつけなくてはなりません。
うなぎの調理は、ふぐのように特別な免許は必要とされていませんが、うなぎにも毒があるため、素人がさばくのは大変危険です。
できることなら、うなぎの調理経験のあるプロの方にお願いしましょう。
うなぎを調理する際は、手や腕などに傷口がないかを確認しましょう。
また、血が飛び散っても大丈夫なように
- ビニール手袋
- 長袖の服
- ゴーグル
などの着用をおすすめします。
うなぎのお刺身はあるの?
うなぎに毒はありますが、お刺身を提供しているお店もあります。
静岡県浜松市にある魚料理専門店「魚魚一(とといち)」では、うなぎの刺し身のネット販売もされているそうです。
もちろん、うなぎをお刺身として提供しているお店では、
しっかり血抜きをして丁寧に毒を処理しているため安心して食べることができます。
うなぎのお刺身は、透き通るような色で脂が乗っていて、コリコリとした食感で絶品のようです。
ぜひ、うなぎ好きなら食べてみたい一品ですよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
うなぎには毒があるため、お刺身としての馴染みがなかったようですね。
ふぐほど猛毒ではないとしても、うなぎの血を興味本位で絶対に飲まないようにしましょう。
うなぎをお刺身にするには、相当な手間ひまがかかる分、とても美味しいそうです。
うな重が大好きな私ですが、いつかうなぎのお刺身も食べてみたいです。
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